印象派写真とは
■Impressionism PhotoArt 印象派写真とは多重合成やソフト(フォトショップ)で何枚かの写真を重ね合わせて新たな世界を作り出す写真です。それらの写真は写実的ではなく、合成によるにじみや曖昧さで印象的な世界を作り出し、絵画の印象派に似ていると感じるので印象派写真と名付けました。
■また写真を重ね合わせる印象派写真はオーケストラの音楽に似ている気がします。写真一枚一枚は言ってみれば楽器です。例えばヴァイオリンであったり、チェロであったり。それぞれの楽器はソロとしてそれだけでもメロディーを奏でられます。単純にそれらの演奏を重ねるだけでは、ごちゃごちゃした印象しかありません。写真も同じくです。しかしそれをピッチや調を合わせて、複数の楽器でテンポやリズムを意識して合奏するならばソロで弾くときとは違った光景が見えます。その際に、出るところは出て、また伴奏に回ったり、効果的に弾かなかったりと様々な方法、演出があります。写真を重ねるときも同じです。順番や合成種類を変えれば、そこに一つのハーモニー、メロディーが生まれます。それを大切にして、作品を作っています。


■この作品シリーズのきっかけは、オールドレンズで花を撮影しているときに、多重露光やPCでの合成を始めたことにあります。オールドレンズの特性もあって、滲みのある、ぼやけた中で新しい雰囲気が出来ることに気が付きました。それが「花シリーズ flowermelody」となりました。
多重露光ではわざとピンボケ写真を撮って、そこにシャープな画像を載せると後ろがふわっとした幻想的な写真になることがあります。
そしてそこに多重露光や合成で人物を重ね合わせたときに、印象派の絵画のような雰囲気が出来、そこから具体的にこのシリーズが出来ましたが、当初から2年以内の作品は人物に焦点が当たり、観た人の印象が風景的なものではなく、人物を中心に見るポートレイト的なものになってしまいました。もちろん、それも良いのですが、どちらかといえば想像の世界を広げて欲しいので、人物をシルエットにすることにしました。シルエットだと人物の国籍や肌の色、年齢、表情も分からず、観た人の想像にゆだねられます。最近の作品では、物語性を最重要に考え、一つの情景的な世界を作ることを意識しています。以下が当時の、その人物的な作品のときのものです。
■制作環境 / VAIO Z Canvas, Sony VAIO Z(Adobe RGB) / Adobe Photoshop, Lightroom / X-Rite ColorMunki Photo / EPSON SureColor P600(日本名 SC-PX5VII) / Hahnemuehle Matt FineART William Turner 310g/m2