制作過程 その1
普段、道を歩いているときに、ここに花があったら綺麗だろう、ここに石の階段があればお洒落だろう、と、そんなことを感じることがあります。それを意識して写真を集め、色々切り取ったり重ねたりして一枚の写真を作っていきます。
この写真が完成形です。ここでは作品制作の過程を説明します。ただ各々の設定数値などの記載はなく、あくまで制作の過程を紹介しているだけですので、その点をご了承ください。

この作品の背景となる写真はこの一枚です。

まず作品の重ね合わせに使えそうな写真を揃えます。一作品につき、大体100-200枚用意します。しかし試してみて使わない写真も多いので、実際はそこまで重ねることはありません。シリーズ「Nostalgic harmony」では最終的に一作品につき30-50枚の写真を重ねています。今回、サンプルのこの作品では以下の写真を重ねています。
しかしただ単純にそろえて重ねるのではなくて、例えば上半分だけといったように、または不透明度の数字を変えて重ねていきます。ソフトはAdobe Photoshop CCですが、最低限として、レイヤーで画像を重ねられるもの、重ねる際にレイヤーの種類を選べるもの、不透明度を設定できるものなら、どのソフトでも可能です。そして同じ写真を複数回重ねることがあります。下の一枚では中段左2枚は2度重ねており、一枚はずらして重ね、重ねる種類も変えています。中央下の青系のものは既に10枚ほど同じように重ねたもので、言ってみれば秘伝のタレといった感じのものでしょうか。

背景の写真に2枚目の写真を重ねますが、もう一度、背景の写真と2枚目の写真をここに載せます。


上の2枚をフォトショップで重ねるとこのようになります。重ねるときは不透明度を最初は50パーセントにしています。そこから調整していきます。今回は2枚目をスクリーンで100パーセントにしています。

そのほかの写真です。一部の写真は、ずらしてあり、また一部の写真は不透明度を変えています。実際はいずれの写真も不透明度を変更しています。またレイヤーマスクを使用して部分的な修正も行います。












そしてこれを各々の写真(各レイヤー)を調整しながら重ねていきます。上に来る写真が必ずしも表面になるとは限りません。レイヤーの種類によっては下の方になっている写真が表面に来ることもあり、重ねてできる画像は偶然性もあります。

そしてここに秘伝のタレ的な画像を重ねて調整します。

そして大体このような感じで調整しながら重ねていきます。写真は時には反転させて重ねることもあります。言ってみれば自由に重ねています。レイヤーの番号が大きい数字になっていますが、製作途中で消しているものもあるので、実際はこの数字ほどの写真が重なっているわけではありません。レイヤーの種類がソフトライトになっていますがコントラストを強めたいときにそれにすることが多いです。

重ねた写真を調整しながら新たな背景が完成しました。そこに人物を載せます。

制作過程-2 に続きます。